株式会社ギミックプロジェクト

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お知らせ・コラム

ビッグデータにおける個人情報の切り分け、活用について

コラム

2014.06.13

■Suicaの利用データを企業は使用してはいけないのか


昨年7月にJR東日本が、Suicaの利用データを、企業に販売した際に待ったがかかり、謝罪をしたことを覚えている方も多いと思う。Suicaの利用データから、氏名や住所と言った個人を特定できる情報は切り離し、「乗降駅、利用日時、鉄道利用額、生年月、性別及Suicaに割り振られた固有のID番号を他の形に変換した識別番号」を企業に提供したとのこと。企業側はこれらを分析し、新たなサービス開発、提供をしていく上で利用していくという話であった。しかし、これらを事前の説明もなしに、勝手にデータを使用するとはどういうことかと、利用者から問い合わせやクレームが多数寄せられて、謝罪に至ったというわけだ。


このこと自体には実は色々な課題が隠されていると考える。


まずは、氏名や住所を削除していたら、それは個人情報ではないのか。そう単純な話しではないだろう。

極端の例を記す。ある駅の利用者が1人だけだったと。とすると、その駅から乗車している人は、誰であると限定ができ、その人の識別番号が限定される。となると、それ以降はその人の移動が全て監視できる状態になろう。つまり、個人が特定ができてしまうわけだ。

今のは極端な例だが、位置情報を含めて、様々なデータを組み合わせると、個人が特定できる状態であると考えられる。勿論、そこまでするとは考えにくいが、氏名や住所は削除したからと言って、個人情報では無いとは言い切れないであろう。この辺りは非常にグレーな部分であり、たびたび扱い方法について議論に上がっている。

つまり、個人情報保護法が制定された2003年に較べITが飛躍的に進化し、その際に想定していないデータが非常に増えているわけだ。そして、「個人情報」として制定されていないが、類推できる可能性がある個人情報周辺のデータを「準個人情報」と呼ぶのだと。


では、これらの「準個人情報」を、他の企業が活用してはいけないのか。また、入手した企業そのものも、そもそも活用していいのか。この辺りは企業モラルの問題であるとも考えられる。銀行口座のデータ、カード番号のデータ、それぞれを登録していても、悪用されない。悪用しないという、基本的な考え方がある。とすると、これらはあるルールの元、活用してもらってもいいではないか。

そもそも、どう活用するかと言う話はあるが、それが顧客にとって新たなサービス、新たなメリットが発生する可能性があるならば、どんどん活用していってほしい。弊社はそう考えるわけだ。


■個人情報保護法改正案の大綱がまとまる

先だって6月9日に発表された個人情報保護法の改正案大綱では、「準個人情報」と言う言葉は使われず、またどれがそれらの対象になるか、具体的な項目も明記されなかった。ただ、個人を特定できないような、加工をしているならば、本人の同意を得なくても第三者のデータの利用が可能になるとの話しが盛り込まれている模様。特に、ここ最近の検討会の中では、経済界から「本人の同意の有無等の取得が難しい」「利活用の促進を妨げる」と言うことで、かなり反対を受けていたからの結果だ。


実際、「位置情報ゲーム」で有名な株式会社コロプラは、JR東日本のサービスより以前から、このユーザーの大まかな動きをデータとして販売している。

最近では、これを「Zoff」ブランドで有名な株式会社インターメスティックと、位置情報と購買情報を掛け合わせて、マーケティング施策へ活用しようと試験運用されているとのこと。勿論、色々な形で個人そのものを特定できない形のビッグデータをワントゥワンマーケティングに活かそうとしているいい例だと。

こういう風な活用がどんどんとできる世界になっていくべきでしょうね。今後の判断に弊社は注目していきます。

 

コロプラ社からのニュースリリース(2014/05/20)
コロプラ、インターメスティック運営の「Zoff」と位置情報を活用した 個店商圏分析の実証実験を開始 ~位置情報と購買データを分析し、企業のマーケティング活動に活用~

・NHK NEWS WEB特集「ビッグデータ活用へ大綱原案発表」

 


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